バルト海の小国エストニアという国をご存じだろうか?
大関 把瑠都(バルト)の出身国です。
ヨーロッパ北東部の共和国。ラトビア・リトアニアとともにバルト三国の一つ。まだまだ日本では馴染みが薄いですね。
昨夜、NHK BSで放送されたBS1スポーツドキュメンタリー「夢は把瑠都~力士めざすエストニアの子どもたち」(再放送)を視聴した。久々に良質の番組を視させてもらった。
把瑠都の日本での活躍で、地元では第二の把瑠都を目指して相撲の稽古に励む若者が増加しているという。
彼らの目に日本の相撲はどう映っているのか。
エストニアでは、今、第2、第3の把瑠都を目指す子供達が増加している。日本でいえば小学生、中学生の男女といえばいいだろうか。
そうした子供達に密着し、背景にあるエストニア社会の現実と、若者の目に映る日本の相撲の姿を浮き彫りにしていた。
子供達はヨーロッパ相撲の登竜門、ヨーロッパ大陸選手権での栄冠を手にするべく、稽古に励んでいた。会場のウクライナ?まで遠征、なんとバスで24時間だとか。
把瑠都が育った相撲道場に通う半数が施設の子供達だ。親がアルコール中毒で育児放棄をして身寄りがなくなった子供達など。
この把瑠都の相撲の恩師がラニクマン氏。
相撲に興味を持った理由が相撲は精神性を重視し実践している格闘技であるという点だった。
また子供たちのイタビューも興味深いものだった。それを拾ってみた。
・相撲は奥が深い。
・相撲で成長した。強くなった。
・相撲で未来を切り開いていきたい。
・感情に振り回されなくなった。
・小さいころは、いじめられっ子だった。相撲を始めて友達もできた。
・『礼に始まり礼で終わる』勝っても敗れても表に出さない。敗者を敬う心が養われた。
・日本に行って相撲取りになりたい。
しっかりとした口調で語っていたのには驚いた。
把瑠都が心の支えになり、また彼の成功が大きな影響を与えたに違いない。
ラニクマン氏の熱心な指導育成の中から大関把瑠都が生まれ、次の後継者達が育っている。
凱旋帰国した憧れの把瑠都の話に熱心に聴き入る子供達の眼差しは輝いていた。
ラニクマン氏の指導のすばらしさは、相撲の根本を教えそして体も鍛える。『心技体』の指導が徹底している点だ。
右側がラニクマン氏
相撲を通して人間を育てる。
生活苦に喘いでいた少年、今よりいい生活を求めて目標を持つエストニアの子供たち。
近い将来、柔道のように日本を追い越して行く日も、そう遠くないだろう?
日頃、合気道、空手、柔道、古武道など、日本の伝統的な武道を尊敬している私にとっては、相撲の精神の素晴らしさに普遍的なものを感じた。
相撲の原点を改めて知るいい機会だった。
我々日本人がまた大切なモノを忘つつあるのではないだろうか?と考えさせられた。
ラニクマン氏に相撲のすばらしさを伝えた、相撲の国際的な普及を図る国際相撲連盟の方々にも敬意を表したい。