日経サイエンスの『Powers of Ten (パワーズ・オブ・テン)』 という写真集の存在を、知人から知らされ感銘を受けたのは、もう今からおよそ20年も前のことだろうか
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Powers of Tenは短編科学映画の名作

公園でピクニックをする男女を基点に、ある一つの視点から10のn乗で拡大(あるいは縮小)した時のスピードで宇宙から原子核までを旅するというものだ。
写真を見ているだけで十分楽しめる。
基準写真

ちなみにWikipediaによると、
Powers of Tenは1968年に作られた教育映画、および書籍の名前。
家具デザインで有名なチャールズ・イームズとその妻、レイによって脚本が書かれ監督された。IBMの資金協力に寄っている、と説明されている。


まず最初は公園で寝そべっているピクニック中の男性の姿から始まり、カメラは街→国→地球→銀河系とどんどん遠ざかっていく。

そして、果てまでたどり着くと次はぐんぐんズームアップしていき、男性の手の甲の中、分子、遺伝子、素粒子レベルまで到達する。
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一つの世界をズームという視点でとらえる斬新な発想も面白いが、CG技術などのない時代のもとは思えない。

■スケールを拡大していく
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■逆にスケールを縮小していくと
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普段の生活で、我々が認識している形式は、せいぜい自分の身体というスケールの縦・横が1m×1mの範囲だ。たかだか10m×10mのまでの世界に過ぎない。

ところが、この写真集はマクロからミクロまで、宇宙・人間、最終的には陽子や中性子の世界。
まさに宇宙の壮大なスケール、「宇宙は相似形」ということを実鉦してみせている。

宇宙の運行


いまでも広大無辺で究極極微の世界を、あらためて実感させてくれる。

私が20代の頃、大阪の大手電機メーカーの開発に携わっている方が「神」とはと何か?いうことを、
日の出、日の入り等の太陽の運行や原子・分子構造を引き合いに、平易に説明してくれた。

この宇宙を司る大きな力。これを「神」 と呼ぶんだ。
すごく腑に落ちる説明であったことを想い出す。
(いまなら、神は創造主とかサムシンググレートと言い換えてもよいだろう) 
原子構造

この
Powers of Tenという作品は、当時、唯物論だった頃の私に教えてくれた。
この世の中で人間が活動している範囲や、一人一人の肉体生命はほんの小さなものに過ぎないが、人間も宇宙そのものなんだと…。
今でもそういう考えを再確認できる作品の一つとなっている。


広大な宇宙、極微な宇宙からすれば人間はちっぽけな存在。もっと謙虚に生きようと奮い立たせてくれるのと同時に、勇気を与えてくれる名作である。

▼YouTube 動画はこちら
Powers of Ten™ (1977)
http://www.youtube.com/watch?v=0fKBhvDjuy0